更新日:2026/3/2
相続手続きを進めていくと、必ず「亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本を取得してください」という場面に遭遇します。
この「亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本」と聞いて、「???」となってしまう人もいるのではないでしょうか?
今回は、この「亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本」がなぜ必要になるのか?、そして実際にどこでどうやって取得すればよいのか?、について解説してみたいと思います。
なぜ「亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本を取得する」必要があるのか?
「亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本を取得する」のは、相続人を確定するためです。
ご存じのとおり、人は生まれた時(出生時)に初めて戸籍に記録され、亡くなる(死亡する)と戸籍から消されます。
では「その戸籍があればいいのでは?」と思うかもしれませんが、生まれて(出生)から亡くなる(死亡)まで1つの戸籍だけに記録されている人はほとんどいません。
結婚したら新しい戸籍に入り、離婚したらその戸籍を抜けて別の戸籍に入ったりします。
親が亡くなって実家がなくなると、実家を本籍地としていた人が、今の住所に本籍地を移すこともあるでしょう
戸籍は人生の節目となるイベントで移り変わっていきます。
さらに、これは一般にはあまり知られていないのですが、法改正や戸籍のシステム化などによって、戸籍を管理する市町村側で戸籍を作り直すこともあります。
そのため、生まれて(出生)から亡くなる(死亡)まで1つの戸籍に記録されている人はほとんどいないのです。
相続人になるのは配偶者、子、両親、兄弟姉妹ですよね
戸籍にはこれらの情報がすべて記録されています。
ただし、抜けがあってはいけません。
たとえば、抜けている期間があると、その間に結婚して子供が生まれているかもしれませんよね
そのため、すべての連続した戸籍が必要になります。
そして、戸籍に記録されている全員の情報が記載されている戸籍謄本でないといけません。
戸籍に記録されている一部の人だけが記載されている戸籍抄本だと意味がないですよね
というわけで、相続人を確定するために、「亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本を取得する」ことが必要になるわけです。
その他に「生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本を取得する」必要がある人はいないのか?
さきほどの説明の中で「相続人になるのは配偶者、子、両親、兄弟姉妹であり、戸籍にはこれらの情報がすべて記録されています。」と書きました。
ただ、これにはいくつかの例外があります。
たとえば、相続人である子が親よりも先に亡くなっている場合はどうなるでしょうか?
相続人である子が親よりも先に亡くなっている場合は、その相続人の子(亡くなった人から見ると孫ですね)が亡くなった相続人(子)に代わって相続人になります。(これを「代襲相続」といいます)
ただ、「亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本」を取得しても、代襲相続人である孫の情報はわかりません。
子が結婚すると親の戸籍から抜けて、新しい戸籍が作成されます。
その後、孫が生まれ、子が亡くなってしまったという記録は、子が結婚した時に作成された戸籍に記録されるため、亡くなった親の戸籍をいくら調べてもわからないのです。
そうなんです、亡くなった人よりも先に亡くなった相続人(子または兄弟姉妹)がいて、代襲相続が発生している場合は、その相続人の子を調べるために、「亡くなった相続人(子または兄弟姉妹)の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本を取得する」必要がでてきます。
もう1つのケースとして、兄弟姉妹が相続人になるケースを考えてみましょう
たとえば、両親のいずれかが再婚であり、前の結婚時に子がいるケースがあります。
いわゆる「異母兄弟」や「異父兄弟」がいる可能性があるということです。(異母兄弟や異父兄弟も相続人になります)
当然ながら、「亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本」を取得しても、異母兄弟や異父兄弟の情報はわかりません。
そのため、兄弟姉妹が相続人になる場合は、異母兄弟、異父兄弟を確認するため(逆の言い方をすると「異母兄弟、異父兄弟がいないことを確認するため」)、「亡くなった人の両親についても、生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本を取得する」ことになります。
生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本はどうやって取得するのか?
最後に、「生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本はどうやって取得するのか?」について見ていきたいと思います。
前述のとおり、戸籍は本籍地の市町村が管理しています。
そのため、原則は本籍地の市町村に請求します。
戸籍には、どこの戸籍から入ってきたのか?、どこの戸籍に出て行ったのか?、という出入りの情報が記録されています。
亡くなった人などの戸籍の本籍地がずっと同じ市町村であれば、1度の請求ですべての戸籍を取得できます。
そうでない場合は(当然、そうでない場合のほうが多いですが....)、最後の戸籍(亡くなったことが記録された戸籍)から遡りながら、本籍地の市町村に戸籍を順番に請求していきます。
郵送による請求もできるので、遠方の市町村には郵送で請求することが多いです。
ただ、令和6年(1994年)より、戸籍の広域交付制度が始まりました。
これにより、本人、配偶者、直系親族(親・子・祖父母・孫など)であれば、本籍地以外の市町村で全国の戸籍を請求できるようになりました。
これはかなり画期的な制度ですよね
コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は取得できないという制約はありますが、ほぼすべての戸籍を1ヶ所で一度に取得できます。
では、戸籍を請求できるのは誰でしょうか?
原則的には本人、配偶者、直系親族(親・子・祖父母・孫など)が戸籍を請求することができます。
そのため、配偶者、子、両親は、亡くなった人の生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までのすべての連続した戸籍謄本を取得することはできます。
兄弟姉妹の場合は、原則的に亡くなった人の戸籍を請求することができません。
ただし、戸籍法には「自己の権利を行使するために必要であれば取得できる」という規定があります。(戸籍法10条の2)
兄弟姉妹の場合、さらには上述した代襲相続などの場合、原則的には戸籍を請求できませんが、「相続」という自己の権利を行使するために必要であることを請求理由として明示することで戸籍を取得することができます。
参考:
戸籍が変わるタイミング
法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」(戸籍の広域交付制度について)
戸籍法10条の2


