更新日:2026/3/3

今回は、戸籍がどういうタイミングで変わるのか?、その影響で戸籍の呼び方が変わる点などについて、実例を交えて解説してみたいと思います。

自分のイベントで戸籍が変わる

戸籍は自分自身の人生の節目となるイベントによって変わります。
いくつかの例を見てみましょう

■ 結婚
・結婚すると新しい戸籍が作られて、夫と妻はその新戸籍に入ります。
・当然ながら、夫と妻は元の戸籍を抜けることになります。
・結婚後、夫の氏を名乗る場合は夫が、妻の氏を名乗る場合は妻が戸籍の筆頭者になります。
・本籍地は自由に設定できます。

■ 離婚
・離婚すると筆頭者でないほうの人(夫or妻)が夫婦の戸籍から抜けます。
・筆頭者の戸籍は変わりません。
・夫婦の戸籍から抜ける人は、元の戸籍に戻る(復籍)か、新しい戸籍を作るかを選択します。

■ 養子縁組
・普通養子縁組で養子が単身者の場合、養子は養親の戸籍に入ります。
・普通養子縁組で養子が既婚者で夫婦の戸籍の筆頭者の場合、養親の名字を使った新しい戸籍が作られます。
・普通養子縁組で養子が既婚者で夫婦の戸籍の筆頭者でない場合は戸籍は変わらず、戸籍に養子縁組した事実が記載されます。
・特別養子縁組の場合、養子は養親の戸籍に入ります。

■ 養子縁組解消(離縁)
・普通養子縁組で養親の戸籍に入っている養子は、養親の戸籍から抜けて、元の戸籍に戻る(復籍)か、新しい戸籍を作ります。
・普通養子縁組で養子が既婚者で夫婦の戸籍の筆頭者の場合、元の名字を使った新しい戸籍を作るか、縁組前の戸籍に戻ります(復籍)。
・特別養子縁組は原則として養子縁組解消(離縁)はできません。

■ 転籍
・戸籍の本籍地を変更することができます。
・市町村が変わる場合は、新しい本籍地に新たな戸籍が作られます。

■ 分籍
・18歳以上の成年に達した人が、親などの現在の戸籍から抜けて、自身を筆頭者とする新しい戸籍を作ることができます。
・本籍地は自由に設定できます。

自分のイベント以外で知らないうちに戸籍が変わることがある

自分のイベント以外で知らないうちに戸籍が変わることが実はあります。
主な要因は法改正と戸籍のシステム化です。

法律が変わって、戸籍の記載方法が変わるなどの理由で市町村が戸籍を作り直すことがあります。
また、戸籍のシステム化(コンピュータ化)により、やはり市町村が戸籍を作り直すことがあります。

このように市町村が戸籍を作り直すことを戸籍の改製といい、改製前の戸籍のことを「改製原戸籍」といいます。
余談になりますが、戸籍に記載されている人が亡くなったりして1人もいなくなった戸籍を「除籍」といいます。
逆に記載されている人がいる戸籍のことはそのまま「戸籍」と言ったり、「現在戸籍」ということもあります。
たまに「亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍を取得してください」と言われることがありますが、「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」の違いはもう理解できましたよね

少し話がそれましたが、ここで注意することは、戸籍が改製されると、その戸籍から抜けた人の情報が消えてしまうことです。
たとえば、結婚した子が戸籍から抜けても、戸籍上は ”除籍済” として子の名前は残っていて、結婚によりその子が戸籍から抜けたことがわかります。
ただ、戸籍が改製されてしまうと、新しい戸籍には結婚した子の情報は一切記載されません。
そのため、相続人である子を調べる際は、改正前の戸籍(改製原戸籍)と改製後の戸籍の両方を確認する必要があります。

実例で確認してみると....

1938年(昭和13年)に生まれた女性の例です。
戦前の旧戸籍法のため、戸籍は家単位で作られています。
戸主(筆頭者のようなもの)は祖父となっており、父母も同じ戸籍に記載されています。
父母のいる戸籍に出生が記録されます。

1938年(昭和13年)出生

戸主:祖父
出生が記録される

その後、母が亡くなり、1951年(昭和26年)に父が再婚したタイミングで新戸籍が編製され、子も父と一緒に新戸籍に移っています。
戦後となり現戸籍法のため、戸籍は夫婦単位で作られています。
筆頭者は父となります。

1951年(昭和26年)父の再婚

筆頭者:父
父の新戸籍に移る

1962年(昭和37年)に結婚し、父の戸籍を抜けて、新しく編製された夫婦の新戸籍に移っています。
筆頭者は夫となります。
本籍地は夫婦の新居となっています。

1962年(昭和37年)結婚

筆頭者:夫
夫婦の新戸籍に移る

1987年(昭和62年)に新居建築に伴い、戸籍の本籍地を新居に移しています(転籍)。
市町村が変わったため、新しい本籍地に新たな戸籍が作られています。

1987年(昭和62年)転籍

筆頭者:夫
新しい本籍地の新戸籍に移る

2007年(平成19年)に戸籍のシステム化により、戸籍が再編製されています。
子が2人いましたが、いずれも結婚して戸籍から抜けていたため、新しい戸籍にはこの時点で戸籍に存在していた夫婦2人だけが記載されています。
子の情報を確認するには、改製前の戸籍(改製原戸籍)を確認する必要があります。

1987年(昭和62年)システム化

筆頭者:夫
システム化により新戸籍が編製される

こちらはあくまでも一例ではありますが、このような一般的な方でも、生まれて(出生)から亡くなる(死亡)までに数回は戸籍が変わります。

戸籍はその人の歴史であり、眺めているとその人の人生が映し出されます。
相続手続きに必要になる戸籍について理解を深めていただき、手続きを円滑に進めるとともに、その人の歴史について思い浮かべてみるのもよいかと思います。